14:46 20160311(Fri)

俺、 東京でいろんなひとに会ったよ。
会津さ住んでたら、会わんにかったひとにも、いっぺえ会った。
東京のひとにも、俺のこと、知ってもらえた。
そのひとたちは、たぶん、
“会津”ってきいたら、俺のこと、憶い出してくれっと思うんだ。
『会津・・・ ああ、あいつの町か』って、 そう想ってもらえる。
俺は、 それが、 うれしいんだ。
東京の、あのひと。 会津の、あのひと。
行ったことねえとこに、知ったひとがいる。
そこに住んでいるひとのことを、考える。
いま東京でなにかあったら、俺は友達の心配をする。
みんなそうやって、ひとに会って、ひとのことを想って生きてる。
そういうのが、 うれしいんだ。 ( 坂元裕二「 いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう 」第5話より )
【今日の一曲】
サンボマスター 『 ラブソング 』
http://www.youtube.com/watch?v=kFpuYOW4uUQ
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-いま逢えない、大切な友人へ-

おひさしぶりです。 どうしていますか?

ここのところ私事でなにかとゴタゴタしていて、ゆっくりお便りもできずにおりましたが、
僕のほうは、ハグともども元気にすごしていますので、どうかご心配なく。

今年は暖冬で、こちらではたまに夜中に雪が降っても、それがたいして積もることもなく、
朝になり、太陽が顔を出せば、ほんの一時間もしないうちに、すっかり解けてしまうといった具合。

深い雪に覆われたあなたの町へと続いているような気になれる、
まっ白な雪道ができることは一度もなく、なんだか少し淋しく感じたりもしました。

けれど、そんなふうに思うのも、ほんとうはおかしな話なのかもしれません。

「あの日」から5年が経ち、ひととき世の中に溢れかえっていた《絆》という言葉が、
いつしかようやく、本来の“みえない姿”へと静かに立ちかえっていったように、
あえてなにかしらに結びつけ、繋がりを感じようとか、感じたいとか、
そんなふうに考える必要なんてないんですよね。

もとより、あなたの町と僕の町とは、離れていても地繋ぎなのだし、
どんなときにだって僕は、空を見上げてあなたを想ったり、星を眺めてあなたのために祈ることができて、
そうすることで心は、気持ちは、遠くにいるあなたをとても近しく、とてもあたたかく感じられる。
想いとは、 どうやらかんたんに可視化されない場所のほうに、 棲みたがるもののようです。

僕は、みえない糸の端っこを、いつでもぎゅうっと、握っています。

もう片方の端っこを、あなたも握っていてくれたなら、うれしいです。

こちらでは、足元に少しずつ、緑が帰ってきました。

あたらしい季節、 あたたかでやさしい春の訪れを、

ハグと一緒に、いつもより少し足早に感じています。

今年は2年ぶりに、そちらのほうまで足をのばしてみたいです。
いつものように、なんのお知らせもせず、ふらっとあなたの眼のまえに現れるという、かなり迷惑な感じで(笑)
それでもきっと変わらずに、 笑顔でむかえてくれるあなたが、

あなたのことが、 すきです。



じゃあね、 またお便りします。

2016年3月11日、14時46分。
今年も、やわらかいひかりがおだやかに差し込む、午後のひとときに感謝しながら。
向井秀徳 『 ふるさと 』
http://www.youtube.com/watch?v=Md8sf_lyNy4